プロ野球からアマチュア野球まで、野球を縦横無尽に語ろう

7月10日(水)

◇第9日 7月10日(水曜日)

 朝起きて、週刊文春に原稿(『小関順二は野球が好きです』という当時連載していたコラム)を送るが、担当編集者から届いたという電話がない。国際電話もかけ方が間違っているのか通じない。日本では普通にできる1つ1つのことが、非常に手間がかかる。

 午前中に南雲さんはウォールマートへ、私は反対側のマーケットへ行く。充電器の調達を目指すが断念、ウォールマートでテレフォンカードを買う(周囲の公衆電話にはカード式のものがなく無駄になったが)。簡単な買い物をしてホテルへ帰り、17時まで『白夜行』を読む。

 17時30分くらいにホテルを出てドッドスタジアムへ行くと、早くも長蛇の列ができていた。今日は2Aのオールスターゲーム。

 おらが町の球宴はファンの熱気がものすごく、こちらの気持ちも高ぶる。私たちは前日に立ち見の席を買っていたが、南雲さんが立ち見は落ち着かないと言うので、外野の芝生席へ移動する。

 スタンド内(フェンス前)で、5、6人の子どもたちがキャッチボールをしているのが新鮮だった。日本でこんなことをする子どもたちはいない。すぐに注意されるし、それ以前に自己規制してやろうとしない。この子どもたちの元気さこそ、アメリカをスポーツ大国にする原動力だと思った。

 試合は、球宴ということもあって投手が1イニングごとに交代し、落ち着かない。試合を見るというより、試合の雰囲気を楽しめということなのか。

 途中で席を立ち、煙草を吸える場所を探す。三塁側の通用門のようなところを出ると、数人が紫煙をくゆらせているのが見えた。

 ふう、と落ち着いて1本咥えると、新聞を突き出して「これを見ろ」という白人女性が現われた。何のことかわからなかったが、タブロイド紙には野球の守備位置ごとに丸い切り抜きの写真が9つ配置され、その1つに目の前の女性が写っていた。

 “Oh! You”と写真を指差すと、女性は嬉しそうに笑う。それは「LOTT」という店の広告ページで、遊びに来てよと誘われているようである。「~スキー」という名のスラブ系の女性で、キャッチコピーの「ホームランサービス」という部分を指差して、ゲラゲラ笑っている。

 私も「オー! ダイナマイトサービス」と言うが、どうも伝わっていない様子。それでも“Yes”と笑っている。そこは風俗店かパブのようなところらしい。遊ぶお金もなし、日本人の本領を発揮し、神秘的な笑みでごまかす。

 8回が終了したところで球場を出て、TAXIを呼ぶ。そのままホテルに帰り、ビールで南雲さんとの最後の晩を祝い、乾杯する。明日南雲さんは帰国し、それ以降の連れは日刊スポーツ紙のデスク、福田豊さんになる。

[註]この2A球宴で注目したのはクリフ・リーである。ハリスバーグに所属していたが、私が渡米してすぐ、バートロ・コローンとのトレードでインディアンズに移籍した。

 今振り返れば、ともにサイ・ヤング賞に輝いている豪華なトレードだが(コローン05年、リー08年)、この02年時点で見れば、2Aだったリーと、この年両リーグで2ケタ勝利を挙げるコローンとでは、バランスがよくなかった。言い換えれば、リーに目をつけたインディアンズの審美眼はさすがという他ない。

 当時のリーの趣味などを記した1枚のA4用紙が手元にあるので紹介しよう。

■趣味……狩猟、魚釣り
■好きな歌手……ウイリー・ネルソン
■好きな野球選手……ランディ・ジョンソン、グレッグ・マダックス
■好きな食べ物……ステーキ&ポテト
■好きなテレビ番組……Sports Center
■少年時代のヒーロー……マグワイア
■好きな映画……Braveheart

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