プロ野球からアマチュア野球まで、野球を縦横無尽に語ろう

''田中 正義''

2014年6月10日(火)東京ドーム

大学野球選手権

創価大-佛教大

 私が最も魅了されたのは1回戦で佛教大、2回戦で亜細亜大、準々決勝で九州産業大を破る立役者になった創価大の2年生エース・田中正義である。今大会の田中の投球は圧巻だった。現在の大学球界には有原航平(早稲田大4年)、山崎福也(明治大4年)、石田健大(法政大4年)、山崎康晃(亜細亜大4年)など、4年生を中心に好投手が揃っているが、ストレートに関しては田中に最も魅力がある。

 たとえば、アマチュアナンバーワンの評価がある有原のストレートはチェンジアップを交えることによって冴えを見せるが、ストレートだけで打者を打ち取る迫力はまだない。今年見た中で最もよかった5月17日の明治大戦を振り返ると、7奪三振のうち4三振の決め球はチェンジアップだった。ストレートで奪った三振は2、7、8回に1個ずつあるが、後半の2つはそれまでチェンジアップをたっぷり見せられた打者の裏をかく配球で奪ったもの。7回、2死三塁で打席に立った真栄平大輝などは“まさかの”3球勝負でストレートを続けられ、空振りの三振に倒れている。

 緩急はピッチングの王道で、チェンジアップを決め球にする有原は称賛こそされ誹謗されるいわれなどどこにもない。「完成度」という物差しで測るなら、依然としてアマチュアナンバーワン投手は有原と言っていい。しかし、有原のチェンジアップのような絶対的な変化球を手に入れたら、田中の攻略は有原以上に難しくなるだろう。

 あえて「たら・れば」で2人を比較したのは、田中の変化球が悪くないからだ。100km台のカーブ、130km台中盤の縦に割れるスライダーとフォークボールは“2年後のドラフト1位候補”の名に恥じないだけのキレ味を備えている。

 しかし、使用頻度が低いので観賞用としては見応えがあっても実戦のボールとしては物足りなさがある。もし緩急に価値を見出すようになったら田中はどれだけ凄い投手になるのか、それを言いたいがためにあえて有原との大物比較を試みた。

 田中はどのくらいストレートが多いのか、大学選手権3試合を振り返ってみよう。

 完封した1回戦の佛教大戦は117球中90球で77パーセント、ともにリリーフした準々決勝の九州産業大戦は73球中52球で71パーセント、準決勝の東海大戦は40球中27球で68パーセント、合計3試合のストレートの占有率は73パーセントだった。

『プロ野球スカウティングレポート2014』(廣済堂出版)によれば、プロでストレートの占有率が高い先発投手は、大野雄大(中日)64パーセント、三嶋一輝(DeNA)60パーセント、菊池雄星(西武)59パーセントあたりで、70パーセント以上は中日のカブレラ1人だけ。田中のストレートに対する思い入れがどれくらい強いかわかる。

 ちなみに、リリーフした2回戦の亜細亜大戦で、私は7回以降の3イニングだけ1球ずつスコアをつけたのだが、46球中ストレートは26球(57パーセント)だった。前出の3試合にくらべて変化球が多かったのはそれだけ亜細亜大から受けたプレッシャーが強かったということだろう。参考記録として記憶にとどめてほしい。

(以上、Number Web 詳説日本野球研究からの抜粋)

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