プロ野球からアマチュア野球まで、野球を縦横無尽に語ろう

''吉川 尚輝''

2016年6月6日(月曜日)

大学選手権

中京学院大-日本文理大

 注目のショートストップ・吉川尚輝(中京学院大4年)は1回戦の日本文理大戦、第1打席でセンターオーバーの三塁打を放ち、このときの三塁到達タイムが私の計測ではプロでも上位の11.20秒だった。

 さらに凄いのがショートの守り。2回に相手8番打者の高いバウンドでセンターへ抜けようかという打球をランニングキャッチすると、間髪を入れずノーモーションで一塁に投げて補殺。5回には9番打者のゴロを軽快にさばいてそのまま二塁ベースを踏んでから一塁に送球、併殺を完成させている。私の近くにいたスカウトは、自軍のレギュラーショートの名前を出して「うちの○○よりうまい」、「プロに入っても遜色ない」と絶賛した。

 2回戦で対戦した桐蔭横浜大戦では、2人のドラフト候補を攻略した。最速144キロのストレートと逆方向に変化するスライダーとシンカーを自在に操る技巧色の強い左腕、高橋拓巳(4年)からは第2打席以降3連続安打を放ち、2番手の速球派右腕、齋藤友貴哉(4年)の内角ストレートもセンター左に難なく弾き返し、合計4安打を記録している。

 守備は4回に見せ場があった。相手3番打者の三遊間へのゴロを軽快にさばいて一塁へ遠投、惜しくもセーフになったが強肩とフットワークのよさが目立ち、4番打者のセンターに抜けようかというゴロは、さばいたあとセカンドカバーに入った二塁手にグラブトスを試みる。これが大きく逸れエラーが記録されたが、私にはむしろ長所として強く印象づけられた。付け加えると、5回と7回には二盗を成功させて、7回には5番山崎善隆(4年)のセンター前ヒットで生還している。

 準々決勝で対戦した亜細亜大は、吉川が一度は入学を決め、春季キャンプにも参加したことのある因縁の相手。厳しい練習についていけず入学を断念した経緯があるので反骨魂が疼いたことは想像に難くないが、それがプレーに表れていた。

 3回に内野安打で出塁すると、4番石坂友貴(3年)のレフト前ヒットで三塁に進塁。簡単に書いているが、ごく普通の打球で左翼手に落ち度があったわけではない。にもかかわらず、左翼手が三塁に送球できないくらい完璧な走塁で進塁しているのだ。

 守備は7回2死一、二塁の場面で見せ場があった。8番打者(代打)の三遊間への深いゴロを、ぎりぎり追いついて二塁へスローイング。これがワンバウンドになってエラーがつくのだが、やはり吉川の球際の強さとか一瞬の判断力のすばらしさとか、よさのほうに目が行ってしまう。

 1回戦で対戦した日本文理大の中村壽博監督は試合後、「(打球が)吸い寄せられるように吉川くんのところに飛ぶ」とコメントしたが、私の目も吉川の失策がことごとく美点に更新されていくようで空恐ろしい。

(Number Web 詳説日本野球研究からの抜粋)

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